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治療方法

薬物療法

心療内科の治療は大きく「薬物療法」と「心理カウンセリング」に分けられます。
薬物療法では、主に薬を使用した治療を行います。薬を正しく使用することで、「幻覚」「妄想」「抑うつ」「焦燥」「不安」「不眠」などのさまざまな症状を改善することが出来ます。しかし、薬の服用を自己判断で中断してしまい、症状が再発する方も少なくありません。医師の指示に従い正しく服用しましょう。

抗うつ薬

脳内の環境を調整する働きをするのが「抗うつ薬」です。脳内の神経伝達物質の働きを高め、バランスの崩れてしまっている脳内の環境を元の正常な状態に戻してくれます。うつ病、パニック障害、強迫性障害、社交性不安障害などの治療に使用します。
抗うつ剤の効果は主に抑うつ状態、不安状態の改善です。脳内のどの物質に作用するかによって「SSRI」「SNRI」「NaSSa」「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」の5種類に分けられます。

【特徴】
  • SSRI

    脳内のセロトニンだけを増やし、情報伝達力を増強します。特に不安、緊張に効果があります。
    従来の抗うつ薬と比べて副作用が少ないのが特徴ですが、飲み始めごろは吐き気や嘔吐、下痢など消化器系に副作用が現れます。

  • SNRI

    脳内のセロトニンとノルアドレナリンを増やし、情報伝達力を増強します。特に意欲向上に効果があります。
    副作用としては、SSRIと同様に消化器障害が多く、その他に口の渇きや不眠なども見られる場合があります。

  • NaSSa

    SSRIやSNRIとは異なる作用でセロトニンとノルアドレナリンを増やします。睡眠、食欲にすぐ効くのが特徴です。
    飲み始めには強い眠気と食欲増進の副作用が見られます。

  • 三環系抗うつ薬

    古くから使用されている抗うつ薬で、うつ状態や不安状態を改善します。効果が強いため、妄想などを伴う重症例でも効果が期待できます。
    効果が強い分、副作用も出やすく、口の渇きや眠気、体重増加などがよく起こります。

  • 四環系抗うつ薬

    三環系抗うつ薬の副作用を軽くするために開発された薬で、副作用が軽い分、効果もマイルドになります。気力、意欲向上に効果があります。
    副作用として眠気がありますが、これを利用して睡眠薬としても使用されます。

抗不安薬

「抗不安薬」とは、不安を和らげる作用のある薬剤です。市販品では「精神安定剤」とも言われます。ベンゾジアゼピン系抗不安薬というものが多く使われており、不安を抑える作用があります。この作用の他に、「抗うつ作用」「筋弛緩作用」「催眠作用」「抗けいれん作用」などもあります。
主な副作用として眠気、ふらつきがあります。また「この薬を飲まなくなったらまた悪くなるのでは」と薬に依存しやすくなる場合もあります。

睡眠薬

睡眠薬は作用の仕方によって2種類に分類されています。脳の活動を抑えて鎮静させる「鎮静型」の睡眠薬と、睡眠・覚醒の周期に関わる体内物質の働きを調整して睡眠を促す「自然な眠気を強める」睡眠薬です。鎮静型の睡眠薬は強力な催眠作用があるのに対して、自然な眠気を強める睡眠薬は個人によって効果の度合いが異なります。まずは自然な眠気を強める睡眠薬を使用し、それでも改善されない場合は鎮静型の睡眠薬の使用を検討します。
また、作用の時間別に「超短時間型」「短時間型」「中時間型」「長時間型」4つのタイプに分けられます。

【特徴】
  • 超短時間型

    「睡眠導入剤」とも呼ばれ、作用時間は2〜4時間となります。効果のキレが良く、目覚めも良いようです。副作用として健忘が現れたり、効きの良い薬であるため耐性(体が薬に慣れて効きづらくなる)がつきやすく、依存もしやすいと言われています。一般的には、一時的な不眠や入眠障害の方に使用します。

  • 短時間型

    作用時間は6〜10時間程度となります。夜中によく起きてしまう中途覚醒の方に使用します。夜中によく起きてしまう時間に合わせて、短時間型を使用するか中時間型を使用するかが変わります。超短期型と同様に、健忘、耐性、依存の副作用があります。

  • 中時間型

    作用時間は12〜24時間程となります。薬の種類によっては翌朝または日中まで眠気が残る場合もあります。
    早朝覚醒や中途覚醒の方に使用します。

  • 長時間型

    作用時間は24時間以上となります。穏やかに効果が現れるため、耐性(長期的に服薬することで効果が薄れること)や依存性は低いとされています。
    早朝覚醒の方に使用されますが、作用時間が長いため翌朝まで眠気が持ち越される場合もあります。

抗精神病薬

抗精神病薬は、主に統合失調症の治療に使われているお薬です。脳内のドーパミンの働きを抑えることで、幻覚や妄想、不安や緊張を鎮めることができます。抗精神病薬には、第一世代と言われる「定型抗精神病薬」と第二世代以降の「非定型抗精神病薬」の2種類あり、現在は非定型抗精神病薬の方が主流となっています。

【特徴】
  • 定型抗精神病薬

    定型抗精神病薬はドーパミンと結合しやすいため効果が強く現れる一方で、手の震え、体が硬くなる、生理が止まる、口の渇き、便秘、記憶障害などの副作用も頻発してしまいます。

  • 非定型抗精神病薬

    定型抗精神病薬の副作用である、手の震えや体が硬くなるなどの症状が出にくく改良された薬です。また、感情の起伏が乏しくなる、意欲の欠如などの陰性症状を改善する効果は、定型抗精神病薬より優れています。ただし、体重増加、血糖値上昇、起立性低血圧などの副作用が出る場合があります。

漢方薬

当院では、抑うつ状態や自律神経失調症などの治療に漢方薬を使用することも可能です。依存性や副作用の少ない漢方薬を、患者様それそれの症状・体質に合わせて組み合わせ、治療に取り組みます。保険診療での処方が可能ですので、漢方薬をご希望の方はお気軽にご相談ください。
当院で取り扱っている漢方薬(漢方エキス製剤)の一部をご紹介いたします。

  • 抑肝散(よくかんさん)
    抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

    イライラ、不安感、ゆううつ感、不眠の改善に効果があります。神経の高ぶりを沈めることができるので、こどもの夜泣きやかんしゃくにも使用されます。最近では高齢者のイライラや不安感の抑制にも使われており、全年齢に使用できる漢方です。

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

    イライラ、不安感、ゆううつ感に加え、頭痛、耳鳴り、のぼせ、喉のつかえ感などにも効果があります。喉の圧迫感に効果があるため、パニック障害の治療によく使われています。

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

    疲労感、食欲不振、胃腸の不調に効果があります。消化機能を向上させることで体内の栄養バランスを整えて、こころと身体の回復を促す漢方です。

  • 酸棗仁湯(さんそうにんとう)

    体が疲れていて気力が続かない、疲れているのに眠れない、などの不眠症状や不安症状に効果があります。精神を落ち着かせて、安らかな眠りを誘います。

  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

    神経の興奮をおさえ、けいれん症状を緩める効果があります。焦燥感、不安感、不眠、悲壮感、情緒不安定にも効果があるため、躁うつの治療にも使用されます。

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